115鐃緒申鐃緒申鐃緒申

                      まくらなら    はつかすみ
ていねいに枕均しぬ初霞
石山秋月
 ひ らさん  いぶき  あいだ  とりぐも 
比良山と伊吹の間の鳥曇り
 び く の     もろこ   よ
魚篭展べて諸子を選ってゐたりけり
     おけ       した    しじみ
夜の桶に小さき舌出す蜆なり
                      かも  じん
船の出る入り江の奥の鴨の陣
あしか                 うみ  きた
葦刈りて父老いにけり湖も北
みずうみきり   な ご
湖は霧の名残りの空となり
おおどし        くわな  はまか
大年のひとり桑名の浜駆ける
           こほく        せま
かいつぶり湖北の山の迫りけり
ひあし の            たたみ
日脚伸ぶ客の帰りし畳かな
花本雅江