705ヨ珠沙

まんじゅしゃげおのれ    あ
曼珠沙華己れに褪せてゐたりけり
石山秋月
まんじゅしゃげ
曼珠沙華のっぺらぼうの石の横
                     まんじゅしゃげ
銀ぎつね走りしあとの曼珠沙華
まんじゅしゃげきつね
曼珠沙華狐がコンと鳴きさうな
ふるさと  えき    かれの
故郷の駅より枯野始まれる
               そな         はか
みそはぎの花を供へし母の墓
 のじぞう   かた  もた    まんじゅしゃげ
野地蔵の肩に凭れし曼珠沙華
まんじゅしゃげ たなだ       も   うつ
曼珠沙華棚田の下へ燃え移る
どしょうまち                   にじ
修道町あたりにかかる秋の虹
        あかちら      まんじゅしゃげ
水べりに紅散したる曼珠沙華
新屋信子